カラギーナンとは
カラギーナンは紅藻類から抽出される多糖類で、D-ガラクトースがα-1,3結合またはβ-1, 4結合を交互に繰り返した構造をしています。 カラギーナンは図に示すように硫酸基の数とアンヒドロ結合の有無によりカッパ、 イオタ、ラムダの3タイプに分けられ、それぞれ溶解性やゲル化性、ゲル化に最適なイオン、 ゲルの性質が異なります。


カラギーナンの溶解性
カラギーナンの溶解性はカラギーナンのタイプと硫酸基に結合しているカウンターイオンの種類によって異なります。 一般的なカッパカラギーナンとイオタカラギーナンはカウンターイオンにカリウムやカルシウムの割合が多く、 溶解には60℃以上の加熱が必要ですが、意図的にナトリウムの割合を多くしたものは冷水に溶解します。 一方、ラムダカラギーナンはカウンターイオンの種類に関係なく冷水に溶解します。
カラギーナンの主な用途
デザートゼリー、プリン・ミルクデザート、畜肉製品、タレ・ソース・ケチャップ・ココア飲料、冷菓などの食品の他、 芳香剤、練り歯磨き、植物性カプセル、シャンプー・コンディショナーなどの用途においてゲル化剤、増粘剤、安定剤として使用されます。
カラギーナンの製造
紅藻類から抽出・濾過・精製(ゲルプレス法又はアルコール沈殿法)・乾燥・粉砕工程を経て、カラギーナンが製造されます。
カラギーナンの特徴
1.ゲル化性
カラギーナンはそのタイプによってゲル化性、ゲル化に最適なイオン、ゲルの特性が異なります。 カッパカラギーナンはカリウムイオンでゲル化し、固くて脆く、離水の多いゲルを形成します。 イオタカラギーナンはカルシウムイオンでゲル化し、柔らかく弾力性があり、離水の少ないゲルを形成します。 ラムダカラギーナンはその構造上、ゲルを形成することはありません。 また、カッパカラギーナンにはローカストビーンガムと高い相乗効果があり、 併用することでゲルが強くなるだけでなく、弾力性があり離水の少ないゲルになります。
カラギーナンのゲルは、熱可逆性です。カリウムイオンやカルシウムイオン濃度が高くなるほどゲル化温度やゲルの溶解温度が高くなります。

2.増粘性
カラギーナン溶液の粘性は糸曳性が低く、粘度は温度やイオン濃度によって影響を受けます。
3.タンパク質との反応性
カゼインタンパクとの反応性を利用して、ミルクデザートに使用されます。
商品リスト
GENUGEL® カラギーナン(ゲル化用)
商品名 | タイプ | 添加量(%) | 用途ならびに特徴 |
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WG-108 | カッパ | 0.3~0.5 | ゲル強度中 各種デザートゼリー |
SWG-J | カッパ | 0.1~0.3 | ゲル強度大 各種デザートゼリー |
WR-78-J | カッパ | 0.1~0.3 | ゲル強度大で透明性の高いゲル 各種デザートゼリー |
CJ | イオタ | 0.1~0.2 | 増粘・離水防止 冷水可溶 インスタントムースパウダー |
LC-2-J | 製剤 | 1.0~1.2 | カラギーナンと精製ローカストビーンガムの製剤 各種デザートゼリー |
GENUVISCO® カラギーナン(増粘用)
商品名 | タイプ | 添加量(%) | 用途ならびに特徴 |
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J-J | イオタ | 0.1~0.2 | 増粘・離水防止 各種デザートゼリー |
PJ-JPE | イオタ | 0.1~0.2 | 医薬品添加物規格適合 増粘・ゲル化・離水防止 |
CSW-2 | カッパ | 0.5~1.5 | 増粘・冷水可溶 インスタントムースパウダー |
CSM-2 | カッパ/ラムダ | 0.05~0.6 | 増粘・冷ミルクに可溶 インスタントミルク製品 |
GENULACTA® カラギーナン(乳製品用)
商品名 | タイプ | 添加量(%) | 用途ならびに特徴 |
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P-100-J | カッパ | 0.1~0.3 | プリン等のミルクデザート |
L-100-J | カッパ | 0.01~0.02 | アイスクリーム等の乳製品 |
LRA-50 | カッパ/ラムダ | 0.6~1.0 | ヨーグルトゼリー等の酸性乳製品 |
K-100-J | カッパ | 0.02~0.03 | チョコレートミルク飲料のココア粒子安定剤 耐熱性菌規格あり |
GENU® カラギーナン(畜肉製品用)
商品名 | タイプ | 添加量(%) | 用途ならびに特徴 |
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CHPシリーズ | カッパ 又は製剤 | 0.3~0.6 | 各種畜肉製品 |
GENUTINE®(ゼラチン食感代替用)
商品名 | タイプ | 添加量(%) | 用途ならびに特徴 |
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310-C | イオタ/カッパ | 0.5~1.5 | コンフェクショナリー(グミキャンディー等) |
410-C | イオタ | 0.5~1.5 | デザートゼリー、中性デザート、ムース |
UniaSens SFE System(カラギーナン配合天然系乳化剤)
商品名 | 添加量(%) | 化粧品表示名称 | 用途ならびに特徴 |
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UniqSens SFE System | 1.5~2.0 | ペクチン/キサンタンガム/カラギーナン | 化粧品用。 合成乳化剤不使用でも乳化系が得られる。 |
製造者:CP Kelco ApS、CP Kelco Philippines, Inc.