化学式 素材図鑑

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LMペクチン(Low Methoxyl Pectin)は植物原料から抽出されたペクチンを脱エステル化して製造されたHMペクチンを、さらに酸またはアルカリ処理し脱エステル化したものです。
エステル化度(メチルエステル化されたガラクチュロン酸の割合)が50より下のものをLMペクチンと呼びます。
この時、酸で処理した製品は酸処理ペクチン(LMCペクチン)、アルカリで処理した製品はアルカリ処理ペクチン(LMAペクチン)といいます。

LMペクチンゲルの基本構造

LMペクチンの主なゲル構造は、カルシウムイオンを介したカルボキシル基間の結合です。

マイナスチャージを持つカルボキシル基がカルシウムイオンを介して結びつき、分子鎖同士が網目状のネットワークを介してゲル化します。
このゲル構造を、エッグボックスモデルといいます。

LMペクチンのゲル化条件とカルシウムイオン反応性

LMペクチンはイオン結合によってゲル化するため、糖分を含まなくてもカルシウムイオンがあれば容易にゲル化します。

エステル化度が低いほど、カルシウムイオンと反応するカルボキシル基が多いため、カルシウムイオンとの反応性が強いです。
そのためゲル強度が強く、ゲル化温度も高いです。

カルシウムイオン濃度が適切な量であれば熱可逆性のゲルができますが、その範囲を超えるとゲル化温度が高くなります。
その結果、調製途中にゲル化し始め、攪拌によって崩壊した状態で固まるため不均一なゲルになります。

アルカリ処理ペクチンでは、アミド基同士の結合がゲル化性に影響します。
アミド基同士の結合とカルボキシル基-カルシウム間の結合は別々に形成されるため、アルカリ処理ペクチンは酸処理ペクチンより幅広いカルシウム濃度でゲルを形成します。

LMペクチンのゲル強度比較

以下の画像は、エステル化度が異なる3種類のLMペクチンゲルで、左からエステル化度が35、30、27です。
エステル化度が低いほどゲルのたわみが少なく、強度が強いことが分かります。

以下の画像は3種類のゲル強度を測定したグラフです。
高さがピークに達した点でゲルが破断したことを示しており、それぞれのゲル強度が異なっていることがわかります。

エステル化度が低いほど破断までの距離が短いことから、エステル化度が低い方がゲルは硬く、脆くなる傾向が分かります。

LMペクチンゲルの強度の様子はこちらの動画をご覧ください。

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