古くから利用されている「ペクチン」
ヨーロッパではジャムなどで活用
ペクチンは植物に含まれる多糖類で、その存在が明らかにされるずっと前から食品に利用されていました。特にヨーロッパでは古くから保存食としてフルーツを砂糖と一緒に煮込んでジャムを作っていましたが、これはフルーツに含まれているペクチンのゲル化性を利用した代表的な食品の1例です。
18世紀になると、この植物に含まれているゲル化力を持つ成分の研究が進み、ギリシャ語の「ペクトス:凝固する、固まる」という言葉から「ペクチン」と名づけられました。 ペクチン成分の特定により、その後、抽出、加工の研究が進み、20世紀はじめには工業生産が可能となりました。現在、ペクチンにはレモンやライムなどの柑橘類またはリンゴから、果汁を搾った残渣部分が主な原料として使われています。従来では果汁を搾った残渣部分(のこりカス)を使い製造されていたペクチンですが、近年では高品質なペクチンを製造するために搾汁後の原料は厳密に管理されています。また、急速に増加し続ける世界のペクチン需要に対応する為、いくつかのペクチンメーカーでは柑橘農家や中間加工業者への支援・指導を行い、生産効率の改良と安定供給に勤めています。
ペクチンはロングセラー商品
ペクチンはジャムのゲル化や果汁飲料の増粘以外にも、酸性乳飲料(ヨーグルトドリンクや乳酸菌飲料)のタンパク質の安定剤や乳に含まれるタンパク質のゲル化剤としても利用されます。20世紀後半に日本で商品化された発酵乳飲料やミルクと混ぜて固まるデザートベース等は、ペクチンのこうした性質を利用しており、現在でも人気のロングセラー商品です。
広がる可能性
ここ数年ではパンや麺などの小麦粉製品の食感改良剤、介護用食品の物性調整剤としての利用が始まりました。特に介護用食品では食感・流動性の他に、細やかな製品設計による反応性の微調節が重要視される中でペクチンは注目されている素材の一つとなっています。フルーツ加工品のゲル化剤、増粘剤として利用が始まったペクチンは、今後もその用途は時代に応じて広がっていくものと予想されています。
三晶(株)ではペクチンのリーディングカンパニーであるCPケルコ社の製品を取り扱っており、日本国内には柑橘類を原料としたペクチンをご紹介しています。
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