環境に優しい繊維「リヨセル」
原料はユーカリの木
リヨセル(Lyocell)はユーカリの木から取れるパルプを原料としたバイオマス繊維です。製法は、パルプを溶解してフィルターで濾過した後、紡糸されるため精製セルロース繊維に分類されています。この紡糸の際に使用される有機溶剤は完全に再利用され、素材としてはバイオマスかつ生分解性も兼ね備えているため、環境に非常に優しい繊維として認識されています。三晶はオーストリアのLenzing社が製造するリヨセル(以前はテンセルと呼ばれていた)を取り扱っています。
製紙用原料として扱ったのは三晶が世界初
リヨセルの長所は柔らかく、さらっとした肌触りで光沢があることから、1990年頃に日本に輸入された当初は衣類などのアパレル用途向けとして紹介されていました。一方、短所としては、摩擦により毛羽立ってしまうことが挙げられます。しかし三晶はこの毛羽立ちや、湿潤強度などに注目し、リヨセルが紙の原料繊維としても使用できるのではと考え、製紙会社や濾紙会社向けにリヨセルを紹介することにしました。そして濾紙会社と三晶研究所での取り組みの結果、1995年頃リヨセルを原料とした紙が世に出ることになったのです。
多機能性と可能性に満ちた素材
リヨセルは叩解する(機械的な剪断力を与える)ことで繊維表面が綺麗に毛羽立ち、フィブリルと呼ばれる微細繊維が生じます。叩解したリヨセルからなる濾紙は、フィブリルが非常に微細であるため、微小な粒子を捕捉することができます。さらに叩解しても繊維の幹が潰れず空隙の高い構造を保持しているため、空気や液体も透過しやすいといった優れたフィルター性能を発揮します。
<未叩解リヨセル>
<叩解リヨセル>
他にも、吸水性・保水性、湿潤強さ、高い密着性などを利用した様々な製品でリヨセルは使用されています。電池のセパレータやコーヒーフィルター、ティーバッグ、ワイッピングクロスなどの用途実績もございます。
リヨセルのフィブリルに微粒子を担持できるため機能性シートの基材など新たな用途開発も期待されています。近年、より微細なセルロースナノファイバーへの関心が高くなっていますが、三晶ではこのリヨセルもまだまだ高い潜在能力を秘めた繊維と信じ、新たな製品開発に取り組んでいます。
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